受難体質の女軍人は漆黒の美形獣人に求愛される
 扉越しに声を掛けられ、ジョージはペンを走らせていた手を止めた。

「はい、今行きます」

 ペン立てにペンを戻した時、ふと窓の外に紫色の霧をまとった魔の森が見えた。
 あの森にいる魔獣は、いつか人に恋をして、獣人になるのだろうか。

(俺は姫を守る騎士にはなれなかったけれど……姫を手助けする善き魔法使いになりたい)

 ジョージのつぶやきに答えるように、窓の外を小鳥がさえずりながら飛んでいく。
 なんだか「あなたならできるよ」と言われているような気になって、ジョージは微笑んだ。

「今度の手紙には何が書いてあるのだろうな」

 レーヴとデュークが婚約してからだいぶ経つ。辺境伯を支えるなら、いつまでも婚約者のままではいられない。

「そろそろ結婚しろよ、ばぁか」

 長年拗らせてきた恋心はまだ消えないけれど。
 大切な幼馴染みの幸せを願って、ジョージははるか北方の地にいる彼女へ向けて、いつもの彼らしく天邪鬼に言った。
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