嘘と愛
 夕方になり、大雅は警察署に呼び出された。

 被害の内容を聞いて、大雅は冷静に答えた。

 無理矢理ホテルに連れ込まれそうになったと、逃げてきた栞がしがみついてきた。
 相手は営業部の本田恭平に無理やり連れ込まれそうになったと言われたが、追いかけてきた恭平は栞が無理矢理誘ってきて財布を盗んで逃げて追いかけてきたと言われ、財布を確認したら恭平の物があった為、本人に返して後はどうするかは本人同士で決めてもらう事にしてそのまま別れた。

 栞に手を上げることもなければ、暴力を振った事も一切ないと。

 話を聞いた警察は恭平も呼び出して事実を確認した。

 恭平は大雅と同じことを証言した。
 
 そして栞から誘ってきたメールを提出した。

 栞の証言には矛盾も多く、警察は大雅と恭平の証言を信じようとしていた。

 しかし…

 
 警察に匿名で、大雅と栞が抱き合っている写真が送られてきた。

(この2人は恋人の仲です)

 と、匿名で書かれていた。



 零はその写真を見て、ひどくショックを受けていた。
 
 しかしその写真には違和感があり…
 遠くから誰かが写したものだと判明した。
 誰が写したのかは調査中。





 帰宅途中。
 零は駅前の歩道橋の上で、どうするべきか考えこんでいた。

 取り調べが終わった大雅からは「何時に帰る? 」と、いつもと変わらないメールが届いていた。
 しかし零はそれに返信が出来ないままだった。

 栞の件はまだハッキリ解決していない、これから調査に入り綿密に調査される。
 その間、大雅と一緒にいる事はできない…。

 事がハッキリするまで、どこかのホテルにでも泊まろうかな?
 でも、一人でホテルに泊まった事なんて一度もないからどこがいいのか分からないけど…お風呂の使いかっても家とは違うだろうし…寝具も違うだろうし…。

 色々考えているとどうしたらいいのか、零自身も決めかねていた。

 栞の件は一切話さないという事で家に普通に帰ればいいのだろうか?
 そうも考えた零。

 
 歩道橋の上から電車の行き交う動きを見て、小さくため息をついた零。

「あれ? 君は…」

 声がして零が振り返ると、そこには仕事帰りの幸喜がいた。

 嫌な人に会ってしまったかもしれない…。
 そう思った零はそのまま去って行こうとした。

「待って! 」

 呼び止められた声に、零は足を止めた。


< 46 / 152 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop