エリート弁護士は、溢れる庇護欲で年下彼女を囲い込む
「えっ? あ、そういう意味じゃなくて……」

瞬時に真っ赤に染まってもじもじする詩織。
チラリと視線を流した矢城がクスリとした。

「今日は色々あって疲れただろうから、ベッドに誘わないつもりでいたんだ。だが、今のひと言で火がついた。俺も気持ちが高ぶったままでは眠れない。帰ったら抱かせてくれ」
「……はい」

小声で了承した詩織は、恥ずかしくて両手で熱い頬を挟んだ。
矢城がククと笑う。

「これまで何度、体を重ねた? 今さら照れなくてもいいだろ」

そう指摘した彼だが、詩織のウブさが可愛くてたまらないと言いたげに目を細めていた。


夜深く。
矢城法律事務所は、建物ごと眠りについているかのように静かだ。
詩織と矢城以外の住人は夢の中にいる。
ふたりもそろそろ眠らないと業務に差し支えるとわかっているのに、熱は冷めるどころか燃え上がる。

矢城の寝室のベッドがリズミカルに軋み、詩織は背に彼の重みを感じている。
媚薬で痺れたかのように意思が働かず、甘い声を押さえられない。
頭が真っ白になりそうで、シーツを握りしめた。
突き抜けそうな快感のせいで、また声が大きくなった。

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