マリアちゃんと鬼ごっこ
つい先日に始業式を終えて二年生になったクラスは去年とあまり代わり映えはしていない。
スクールカーストの一軍にいるやつらは相変わらずうるさいし、二軍にいる俺や三花は当たり障りがないように平和に過ごしているし、自分の世界を持っている三軍の人たちは趣味の漫画や勉強に勤しんでいる。
「みんなお喋りはそこまでにして席に着いてね」
出席簿を片手に先生が教室に入ってきた。このクラスの担任である日高景子先生は美人だ。
そのせいもあって体の線が見えない洋服をいつも着ている。きっと思春期の男子を刺激しないようにしてるんだろう。年齢は三十代後半らしいけど、見た目はもう少し若く見える。
「……むら、せ、村瀬永人くん」
「え、は、はい!」
名前を呼ばれて慌てて席から立った。けれどそこで出席確認の途中だったことに気づく。
「点呼は返事だけでいいのよ」
「……はい、すみません」
やば。すげえ恥ずかしい。
耳を赤くさせながら再び席に着くと、俺の斜め前にいる三花に〝バカ〟と口パクをされた。うるさいと返す前に、ドタバタと廊下から足音が響いてきた。それはB組の前で止まり、その勢いのまま教室のドアが開いた。
「ハア、ハア……セーフ!!」
息を切らせて登校してきたのは、クラスのムードメーカーであり、お調子者の嶋凛太郎だった。