マリアちゃんと鬼ごっこ
「嶋くん、全然セーフじゃないわよ。完全な遅刻です」
「えー景子せんせー厳しいよ! 今日は見逃して。ね? ね?」
「ダメです」
軽くあしらわれている凛太郎のことを見て、クラスメイトたちが笑っている。
「嶋、今日もうぜーぞ!」
「〝遅刻しまくりんたろう〟だもんね?」
このクラスで一番権力があると言っても過言じゃない瀧川裕司と牧田鳴美が茶化すと、教室はさらにどっと湧いていた。
「おっす! 永人!」
ホームルームが終わって休み時間になると、凛太郎が俺の席に寄ってきた。
「声のボリューム、なんとかならない?」
「お前はいっつも蚊が鳴いてるみたいに声が小さいよな」
「凛太郎がでかすぎるんだよ」
「まあまあ、いいじゃん。凛太郎から元気を取ったら終わりだよ」と、三花が笑顔でフォローしてきた。
「ちょっと、終わりは言い過ぎだろ!」
「だって本当のことだし。ね、永人?」
俺たちはこんなふうに三人で一緒にいることが多い。性格はそれぞれ違うけれど、三人でいると妙にしっくりするというか、俺にとっては居心地がよかったりする。