Livre magie〜信じる心〜
三 開き始めた心
元の世界に戻った僕たちは、カズを空いている部屋のベッドに寝かせ、交代でカズの様子を見ながら過ごした。

カズは夜になっても目を覚まさず、僕が夜中に様子を見に来た時にも眠ったままだった。このまま目を覚まさないんじゃないかって心配になったんだけど、物の怪やゾンビと戦った疲れからカズの様子を見ているうちに意識を手放してしまったんだ。

「んっ……」

朝、鳥のさえずりで目を覚ました時、僕が目を開けるとベッドの中は空っぽだった。カズがいないことに驚いてしまう。

「カズ、どこ行ったんだ!?」

僕が眠ってしまった後に目覚めて、一人で家の外へ出ちゃったのかもしれない。僕の家から街へはかなり距離があるし、夜だと野生の熊なんかも出る。外に出てしまっていたら危険だ。僕はパジャマのまま部屋を飛び出した。

「ズーヘン!」

僕は魔法の杖を振る。探し物や尋ね人を探す時に使う魔法だ。杖から流れ出た煙が探したいものや人のところまで案内してくれる。
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