サヨナラ、セカイ。
ずっと片手を繋いだままま、窓の外に眼差しを投げた彼がふいに呟いた。

「今日はクリスマスイブだったな・・・」

そう言えば恋人になってから初めてのクリスマス。

大事な人に気持ちを贈り合う日。キリストの生誕を祝う日。わたしとナオさんの新しい人生が生まれた日。

「わたしへのプレゼントは煙突に入りきらなくて、トナカイさんがここに連れてきてくれたわ」

何もしてやれないと悲しい顔をさせそうで先回りした。

「ナオさんも今夜は枕元に靴下を置いて寝てね?明日、未来の奥さんに変身したサンタクロースがやって来るから」

小さく笑い、握った指先にきゅっと込めた思い。
お互いさえあればなにも要らないと、その意味を汲んでくれたナオさんの切なそうな笑顔。

「愛してる沙喜。・・・愛してるよ、愛してる」

肩を震わせたあなたは。堪えきれなくなったように(むせ)び泣いた。
< 101 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop