本能で恋をする~after story~
ガチャ―――――
「叶斗?忘れ物?」
「海斗…」
「え…?なな?」

なんで―――?

「お前何の用だよ!よく俺の前に現れることできたな?凛音にあんなことしておいて!」
「ごめんなさい」
「は?」
「ちゃんと謝りたくて……」
「そう。でもそれは俺じゃなくて凛音だろ?」
「わかってる。だから、来たの。ここで凛音さんに謝りたくて……呼んでもらえる?」
「……わかった」

俺は凛音に電話をし、事情を話すとさすがに戸惑っていた。でもななを気持ちも、ちゃんと受け止めると言って、今こっちに向かっている。

「なな。もうすぐ凛音来るから、下まで迎えに行ってくる。ちょっと待っててくれ」
「ねぇ、お茶飲まない?今いれたから、温かいうちに飲んでよ」
「え?あ、あぁ」

この時ななが、ニヤッと笑ってることに気付かなかった。

ガン―――――
身体が熱い………なんで…?
「身体…熱くなってきた?」
「は?」
ななが俺の膝に跨がってきた。

「な…な。なに、を……?」
「抱きたくなったでしょ?私のこと?お茶にちょっと媚薬をね!」
「はぁ、はぁ、はぁ。
ふざけ、るなよ……」
身体に、力が入らない。いつもなら、片手で振り払えるのに。

「もうすぐ、彼女来るわね…?」
そうだ、凛音がこの状態を見たら……
「ど、けよ…頼む。どいて、くれ…。こんなの凛音が見たら………」
「どくわけないじゃん!」
ななにキスをされる。
「―――――!!」
鳥肌が立った!確かに身体はかなり興奮している。でも心が激しい拒否をしめし、心と身体がバラバラになりそうだ。

コンコン――――
ガチャ――――
「海斗…?来たよ…」
「――――!!」

バサッ――――――
「海斗……、なな…さ…。
イヤ……。イヤァァァ!!!」
凛音が、その場にヘタリ込み耳を塞いで、泣き崩れる。

「あーあ。なんか無様!」

「どけ…!なな…」
「え…?海斗…?薬効いてたんじゃ……」
「早く…どけよ……殺るぞ……」
「かい、と……ヒッ――――!」

俺のあまりの表情に、恐れを感じたのだろう。
おそるおそる、ななが俺から離れた。
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