本能で恋をする~after story~
正直、薬はまだ効いていて思うように身体が動かない。
それでも凛音をこんなに傷つけたことが、俺の動く力になり、精神力だけで身体がを動かした。

「凛音…ごめん…!こんなとこ…ごめんな……」
俺はなんとか凛音の元にたどり着き、抱き締めた。
「海斗……おね、がい…私を捨てないで……ずっと、傍にいて…」
「捨てない。一生離さないよ……ずっと傍にいる」

更に凛音を強く抱き締めた。


「なな…二度目だな……。凛音を傷つけたの。お前さぁ、そんなに死にたいの?」
今凛音に話しかけていた柔らかな声が、一瞬にして低く、重みをもって出た。
自分でもびっくりするくらいのどす黒い声が。
「え…」
「だったら、死にたくなるようにしてあげるよ?」
「かい、と…?ごめ――――」

「俺の名前を、気安く呼ぶな!!!」







俺は基本的に、許すとゆうことができない。
仕返しとか復讐とか、されて当たり前だと思っていた。一度傷つけられたら、傷つけ返す。
こんなこと当たり前だと――――――
だから、凛音に出逢うまで、仕返しは必ずおこなってきたし、そうやって生きてきた。
俺が高校の時に“悪魔”と呼ばれていたのもそれに関係する。
一度売られた喧嘩や、友達が傷つけられたら、迷いなく受けてたし、仕返ししてきた。

でも凛音ちがう。
仕返しをとても嫌う。
そんなことしても、何も始まらないし、前に進めない。だったら、私が我慢すると。
でもななに一度傷つけられたとき、なぜ許さないと行ったのか。
それは【だって、海斗が私の為にデザインした指輪をなんの躊躇いもなく捨てたから。なんか海斗の心を捨てられた気がしたから】だと。
それが、凛音だ。
今回も、会いたくない。もしかしたら酷いことを言ってしまうかもしれないから。と言うのを、ななの謝りたいとゆう気持ちを汲んで、無理矢理来てくれたのだ。

それなのに、コイツは―――――

激しい憤怒の感情が、覆い尽くしていた。
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