本能で恋をする~after story~
「あれ!海斗…」
「凛音…どこ行ってたの?病院?
一人ではダメだよ?途中で倒れたらどうすんの!」

「え、あ、違うの。これを買いに……」
それは俺が今ハマっているバンドのコンビニ限定Tシャツだった。

は?これを買いに…?体調悪いのに…?

「なんで…?」
「少し寝たら落ち着いたし、このTシャツ今日だけの発売だし。海斗スゴい欲しがってたでしょ?
コンビニはこのマンションの一階だから」
俺の顔に怒りが見えたのだろう。少し怯えたように話す凛音。

「なにやってんの?体調悪いのに!いくらここの下でも、途中で倒れたりしたら、どうするの?」
俺は心配しすぎて、つい声を張り上げ怒鳴ってしまった。
「あ、ごめんなさい……海斗。
ごめんなさい…。
海斗が喜ぶかなって思って…昨日の夜欲しそうにTV見てたから」

「ったく、とにかく病院行くよ」
「いや、大丈夫。一人で行けるよ」
また、そんなこと言う!

「凛音はこれ以上俺を怒らせたいの!?」
「あ、ごめんなさい。うん。行く」
そう言って、病院に連れて行った。

幸い、疲れからくる風邪だろうと言われ、安心して家に帰る。凛音は毎日一生懸命家事をこなしてくれる。もちろん、パートも続けながら。
それがたたったのだろう。
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