本能で恋をする~after story~
バカップルは人気者・凛音の苦悩
*****凛音 side*****
「ん…」
目が覚めると、海斗に腕枕されていて、海斗はまだ寝ていた。
「海斗…」
海斗のサラサラの髪の毛を、触ってみる。
「海斗…好き…」
前髪を撫でながら、呟いた。

この部屋はツインルームで、ベットは二つなのに一つのベットに寝ていた。

「フフフ…海斗らしい…。たぶん別々でって言っても、嫌がるんだろうな……」
しばらく海斗を見つめて、目が冴えてしまい、海斗の腕の中から抜け出た。

「なんか、暑いな。少し風にあたろうかな…」

そう思い立って、簡単に服を着て部屋を出た。




「んー。気持ちいいなぁ!」
ホテル横の小さな庭のような所に行って、小さなベンチに座った。風に当たっていると、
「あれ?奥さん?」

「え…?あ、一宮さん?」
「はい。どうしたんですか?」
「ちょっと目が覚めちゃって。風にあたりに」
「そうなんすね。横いいですか?」
「もちろん。どうぞ…」
ベンチの端に移動すると、一宮さんが横に座った。

「空、綺麗ですね。ここは星が見える。綺麗!」
「あ、はい。………ほんと、綺麗過ぎる。今すぐ連れて帰りたい位に」

「え…?連れて帰りたいって、星をですか?
…って、え?」
空を見てた顔を一宮さんに向けると、一宮さんは私を真っ直ぐ見ていた。

「あ…あの…一宮さん?」
一宮さんの手が、私の首筋に触れた。
「これ、キスマーク?」

「え…?」
「…って、この位置は見えないか…。あ、ここにもある」
「え…あの…ちょ――――きゃっ!」
「危ない!!」
なんだか危ない予感がして、逃げようと横にずれると、ベンチからずり落ちそうになり――――

「…っぶねぇ…」
一宮さんに抱き締められていた。
「あ、あのもう大丈夫なんで、離して下さい」
腕の中でもがく。
「ヤバい。奥さんいい匂いして、離したくない。それに柔らかい……」

嫌だ―――怖い……
「ほんとに、離してください!」
「もう少しだけ……」
「いや、離して!!」
「………」
一宮さんは何も言わず、更に強く抱き締めてきた。
そして、首筋を甘く口づけた。
「――――!いや、やめて!助けて!海斗ぉー!」
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