本能で恋をする~after story~
ドンッ―――
私は力いっぱい一宮さんを突き飛ばして、逃げた。

「はぁ、はぁ、はぁ」
助けて、海斗。早く海斗にギュッて抱き締めてもらって、この事を海斗に――――

海斗………に……。
海斗に言ったところで、どうなるのだろう。
海斗のことだ。
キレて、感情をなくしたロボットのように一宮さんをボロボロになるまで、殴り傷つけるだろう。
そして、一宮さんを退職させ、この町からも追放させるようなことをするはず。
海斗の私情で。
優秀だと言ってた一宮さんを退職させるだろう。

私はその場に身体を抱えるようにして、座り込んだ。

私が………私が耐えなきゃ!

「凛音ちゃん…?」
「え…?叶斗くん?」
「どうしたの?震えてるよ……。
――え……?凛音ちゃん?」

震えてる私の背中を擦ってくれた、叶斗くんの服を無意識に握っていた。


*****凛音 side・終*****
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