本能で恋をする~after story~
バカップルは人気者・海斗の支配
それから1ヶ月後――――

一宮は依願退職した。
凛音を諦めないと言ってたので、何かするのでは?と思っていたが、今のところ何もない。
普通の生活が訪れたのように思われた。
が!――――――

「ただいまー」
「あっ、おかえり海斗…。ちょっと話しておきたいことがあるの」

なんだ――――?

「え?一宮が―――?」
「うん。でも海斗が心配するようなことはなくて、ちゃんと普通に付き合っていきたいって!」
「は?ダメだろ!?
凛音、パート辞めろよ!」

なんと、一宮が凛音が勤めてるカフェに社員として入社したらしい。

「大丈夫だよ。一宮くんにちゃんと私の気持ちは伝えたから。私には海斗だけって!」
「でも、ダメ!!
別に凛音が辞めても、生活に何の支障もないし。凛音が嫌なら、俺が店長に話す!」

あり得ない、許せない!

アイツと凛音が、たった週二・三回とはいえ一緒に同じ空間にいるなんて!
言葉にならない怒りで、俺は必死で凛音に言い聞かせた。
「海斗、やめて!私はあのカフェで働きたいの。週一回でもいいから!
それに一宮くんと話して思ったの。私達の気持ちは一生変わらないんだから、逃げるみたいにする必要ないって!」

凛音の言ってることは、よくわかる。でもただ不安で、どうしても納得できない。

「一宮くん、ちゃんと言ってくれたよ。
【俺はもう無理矢理、凛音さんのことを、傷つけることはしません。でも凛音さんのことを想うことは自由だと思っています】って!だから、私も普通に海斗を想って過ごせばいいんだって!」
「だからって…!」

もう、何を言っても無駄だった。凛音の意思は固く、結局パート日をなるべく少なくするように、その場で店長に連絡させ、話を終わらせた。
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