本能で恋をする~after story~
レジに向かっていると………

「あれー?ウミ?
ウミじゃん!?」
「え?もしかして、イチ?」
「おー!久しぶりだなー!」

「海斗…?誰…?」
「あっ、コイツは――――」
「ヤバ……スッゲ可愛い。ウミの彼女??」
イチが、俺の言葉に被せる様にして、凛音を見ている。

俺はさりげなく凛音を、背中に隠し、
「コイツはイチ。夏川 一喜って言って、一喜って漢字が、“一つの喜び”って書くから、“イチ”って呼んでるの。さっきちょっと話した高校の時一緒にワルしてた奴」
「へぇー。じゃあ“ウミ”って、海斗の“海”が“うみ”だからか。
ちょっと海斗見えない。どいて?挨拶したい」

ダメだよ!いやな予感すんだから――――

「別に凛音を見せる必要ないじゃん!」
「なんでだよ!俺も彼女見たいよ!どけよ!ウミ。
すっぽり隠れてんじゃん!」
「そうだよ。挨拶しなきゃ、失礼でしょ?」

「別によくね?もう会うことないし……」
凛音が背中から出ようと、俺を剥がそうとしている。
「ウミ。彼女見せろよ!」
「やめろ!イチ!
だいたい、凛音は彼女じゃなくて、嫁だよ!」

背中で凛音が、前からイチが俺を剥がそうとしていて、前から俺を剥がそうとしていたイチの動きが、ピタッと止まり――――
「は?嫁?ウミ、結婚したのかよ?ななと別れたばっかだろ!」
「は?なな?いつの話だよ!」
「お前等ついこの間まで、付き合ってたんだろ?そんなすぐに他の女と結婚すんのかよ!俺はてっきりこの娘が次の彼女かと…」

はぁぁ?なに言ってんの、コイツ――――

「ななは高校卒業した時に、とっくに別れてるよ。それから、全然会ってねぇし。名前も久しぶりに聞いた位だし」
「は?何言ってんの?先週たまたま、ななに会って言ってたぜ!別れたばっかって!アイツ、気にいらない奴にウミの名前出して、ひれ伏させてたらしいし。
お前、裏では有名だったからな!」

は?意味わかんねー。つうか、凛音に余計なこと聞かせるなよ!!

「海斗……?」
「ん?凛音。ちょっとだけ待ってて!すぐ済ませるから」
「イチ、ちょっと来て!」
凛音をその場に残し、イチを端に呼んだ。
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