都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「お疲れ様です、今から外回りですか?」

「はい、いってきます」

「暑いから気をつけてください。塩飴どうぞ」


岡田が満面の笑みで話しかけると、仁奈はポケットに手を突っ込んで飴を取り出した。


「おばちゃんかよ……」


ポロッと漏れた本音。すると仁奈はじろっと睨んできた。
怒ってても顔が赤くてかわいいから効果ねえけど。

いじけた仁奈は俺には飴を渡してくれず、ほうきとちりとりを持って裏口に歩いていった。


「あ、これ以外とおいしい」


岡田は目を離した隙にもらった飴を口に入れている。
こいつほんと緊張感ねえな。


「お前一応仕事中だからな」

「はい、これ食べて気合い入れました」

「そういうことじゃねーんだけど。まあいいや」


別に怒るようなことじゃないからそれ以上は何も言わない。
すると岡田は俺を見つめてきたから目線をそっちに向けた。
ん?なんか言いたげだな。


「岡田、どうした?」

「遠藤さんって、彼氏いるんでしょうか」

「………は?」
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