都合のいい女になるはずが溺愛されてます
私の顔で遊んだ佐久間は起き上がって顔を洗いに洗面所に行った。
私は朝ごはんの準備でもしようかな。立ち上がったら佐久間のスマホが鳴った。
表示された名前はなぜか私のお母さん。


「陸、私のお母さんから電話」

「はーい。……今のは自然に呼べたね?」

「いいから出て」


洗面所までスマホを持っていって渡す。
タオルで顔を拭きながら佐久間はニヤニヤして電話に応じた。

数分後、電話を終えると眉間にシワを寄せていた。


「あー、思い出せない。ねえ仁奈、しゃれとんしゃーってなんだっけ」

「博多弁でオシャレって意味です。
それより、いつの間にお母さんと仲良くなってんの」

「仁奈って呆気なく俺の事捨てそうだもん。だから外堀から埋めていかないと」

「入籍したのに?」

「そう、結婚したのに」

「……なんか、キャラ変わりましたよね」

「仁奈が変えたんだよ、俺のこと」


不意打ちの微笑みは心臓に悪い。
とっさに目を背けてキッチンで朝食の準備を進める。
照れた私をふふんと鼻で笑って佐久間は着替えるために寝室に向かった。


「俺、仁奈が思ってる100倍くらい仁奈のこと好きだから」

「手元が狂うからちょっと黙ってて」

「ははっ、かわいくねー」


戻ってきた佐久間はまださっきの話をしようとする。
強がったらかわいくないと言いながら満足げ。
こういうところは結婚しても変わらないな。
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