都合のいい女になるはずが溺愛されてます
それからというもの、仕事の合間にジムに通い、エステに行ってみたりして、本気であのおっさんを見返すために頑張った。

3ヶ月もしたら少しずつ身体も変わってきて、下っ腹が引っ込んでウエストがなんと5cmも減った。
おしりも上がってきていい感じ。
最近はご飯を食べた後でも鏡を見るのが怖くない。


「仁奈ちゃん痩せすぎじゃない?大丈夫?」


ある日、佐久間がなぜか心配そうな顔で私のお腹を触ってきた。
くびれの部分を両手で掴むように触ってウエストを確認している。


「体重は変わってないです、身体が締まってきました!」

「嬉しそうじゃん。でもいけ好かね〜」

「なんで?」

「だって見返すためとはいえ、他の男のために頑張るとか俺ちょっと妬けちゃう」

「かわいいこと言いますね。じゃあ綺麗な花嫁って自慢できるように陸のために頑張る」

「どしたの、仁奈がすっげえ素直なんだけど。
めっちゃキュンってした。もっかい言って」


デレデレの笑顔を向けられてハッとした。
ちょっと今の発言、私らしくなかったかも。


「今の発言浮かれすぎて恥ずかしくなってきたのでもう言わないです」

「新婚じゃん、そんぐらい浮かれていいって。お願い、もっかい聞きたい」

「食い下がってもダメ!」


恥ずかしさに負けてその場を離れると後ろから「ダメか〜」と言いながら佐久間がついてきた。
……こういうところ、やっぱり犬っぽくてかわいいなぁ。
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