都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「ポップコーンは塩派?キャラメル派?」

「ハーフ&ハーフ派です。塩辛いの食べたら甘いの食べたくなるじゃないですか。
エンドレスで交互に食べれるからお得」

「それデブの発想じゃん」

「デブじゃないです」

「フフッ、必死になっちゃってかわいい」


映画館について売店に並びながら会話して思わずニヤけた。
にしても、人の目がある所でイチャつくとかキモいって思ってたけど、俺がそうなってるとは。
昔の俺なら絶対ありえないし、ぶっちゃけ今もありえないと思ってる。

まあ、思ってるだけで顔や態度に出てるから意味ねーけど。


「……酔ってます?」

「あは、テンション上がってるだけ」


「ふーん」と呟く仁奈の冷たい視線を感じながらシアタールームに移動して座席に座る。

映画は好き。特にひとりで観るのが好きだった。
今は仁奈と一緒がいいけど。
仁奈はどんな映画も集中して観るから、横顔をいくら見ても気づかれなくていい。
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