都合のいい女になるはずが溺愛されてます
「ねえ、今ヒマしてる?」


ところが翌週、佐久間はあの会議室に顔を覗かせた。


「見ての通りプロジェクターのチェックをしています」
「それいつ終わるの?」


そう言いながらしゃがんでプロジェクターを操作している私に近づいてきて、一緒に画面を覗きながらピトッと引っついてきた。
ダメだな、どんどん実家のラッキー(犬)に見えて来てかわいいなんて思ってしまう。


「そろそろ終わります。こちらの会議室ご利用ですか?」


立ち上がって距離を取る。
柔らかい印象の茶髪、綺麗な肌にくっきり二重の大きな目。

イケメンに変わりないけど、こいつはクズだ。
でも肝に銘じなきゃ揺らいでしまうくらい顔がいい。


「ううん、違うけどなんとなく寄ってみた。君、総務の遠藤さんでしょ?
ウチの部長が遠藤さんのこと頑張り屋さんなんだって褒めてたよ」

「あの、だから」

「『馴れ馴れしいです』って?」


上目遣いで考えを見通され、一瞬言葉につまった。
その様子を見た佐久間はにや、と笑いながら立ち上がる。
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