2番目の恋
20分後。
ドアがノックされる。

そっとレンズを覗くと部屋着の笹崎が立っていた。

泣き続けた20分間。
私の目はきっと赤い。

ドアを開ける。
笹崎と目が合う。

「なんでそんなに泣いてんの。」

開口一番そんなことを言う。
ちょっとバカにしたように笑ってる。

「わかんない。」
「泣きたいの俺の方じゃん。」
「わかってる。」

笹崎が静かに部屋に上がる。

なぜか正座で面と向かって座る。
ローテーブルのそば。

涙で顔はぐしゃぐしゃ。
きっとすごく不細工だ。
すっぴんだし、ジャージだし。

「笹崎のことがね。」
「うん。」
「好き。」
「うん。」
「好き。」
「うん。」
「だからね、」

笹崎の顔を見る。
真っ直ぐ過ぎる強くて優しい目。

「笹崎のことだけは信じてもいい?」

私はバカなことを言ってる。
笹崎はなんて思ってるかな。

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