きみはカラフル




結婚を前提とした同棲なので、お互いの親にも挨拶と同棲の許可を得るため、それぞれの実家に赴いた。
まずわたしの家。父は弘也さんとも面識があったので、スムーズに了承をもらい、ひとまず第一ステップは越えた。
そして翌週、弘也さんのご実家に伺うと、初対面にもかかわらず、弘也さんのお父様にも歓迎していただけて、わたしは尋常じゃなくホッとしたのだった。
ひとつ欲を言えば、弘也さんのお姉さんにもぜひお会いしたかったのだけど……
どうやら弘也さんのお姉さんはお身体が丈夫ではないらしく、時折、入院を要するような病気をされるそうだ。
今はそこまで悪いわけではないみたいだが、少し風邪気味ということで、ご挨拶は叶わなかった。
でもわたしに会いたがってたということをお父様から教えていただいて、わたしもお会いしたかったですと伝言をお願いした。
お姉さんにお会いした際は、お姉さんを弘也さんの恋人と勘違いして、その結果、付き合うことになったのだと、きっかけをいただいたお礼を伝えたいと思っていたのだ。



それからしばらくして、弘也さんの一人暮らしの部屋とわたしの勤務先のカフェの中間ほどのところに新居を決め、わたし達の同棲生活がスタートしたのである。

家具や家電もなるべく新しいものを買い揃え、まるで結婚準備のようだなと言っては、二人で笑いあっていた。
幸せな忙しさだった。
真新しい冷蔵庫に、弘也さんからはじめてもらったプレゼントの小さな虹のマグネットをくっ付けて、こうやって二人の思い出がどんどん集まって彩りを増していくのだと、胸が弾んでしょうがなかった。










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