今さら本物の聖女といわれてももう遅い!妹に全てを奪われたので、隣国で自由に生きます
思わず私はぽつりと呟いた。アリアス殿下は私を安心させるようにひとつ微笑んで、そっと私の手に指を絡めてきた。その優しい触れ合いにどきりと胸が鳴る。思わず手を振り払ってしまったが、しかしアリアス殿下は気にしていないようだった。
「端的に言うと、僕の恋人を演じて欲しい」
「な、なぜ………」
「きみが適任だからだよ、ミレルダ・シェイラン嬢」
アリアス殿下はそう言うと窓枠に腕を置いた。そして、私にそのまま説明をする。馬車は一定の速さで走っている。空の雲行きが怪しくなってくる。恐らくこれは一雨来るだろう。
「公爵令嬢として教育を受け、マナーはもちろん振る舞いにも問題は無い。そして、きみはリヴァーロンの令嬢のように僕の妃の座を狙ってもいない」
「…………」
「こんな適任、他にいないだろう?」
いないだろう?と言われても………。まったく話についていけない。私が戸惑ったままアリアス殿下を見ていると、アリアス殿下はことさら優しい声を出した。ぐっと身を乗り出されて、距離が縮まる。その近い距離に思わず腰が引けそうになったけれど、辛うじてそれに耐えた。ふわりとハーブのような薬草のようないい香りがした。これは香水ではなく、彼本来の香りなのだろうか。
「ミレルダ嬢、きみは困ってるんじゃないかな」
「───え?」
「きみは今、セイフェルーン王国の王城を爆破した、いわばテロリストだ。指名手配されてもおかしくない。分かるよね?」
「は、はい………」
「端的に言うと、僕の恋人を演じて欲しい」
「な、なぜ………」
「きみが適任だからだよ、ミレルダ・シェイラン嬢」
アリアス殿下はそう言うと窓枠に腕を置いた。そして、私にそのまま説明をする。馬車は一定の速さで走っている。空の雲行きが怪しくなってくる。恐らくこれは一雨来るだろう。
「公爵令嬢として教育を受け、マナーはもちろん振る舞いにも問題は無い。そして、きみはリヴァーロンの令嬢のように僕の妃の座を狙ってもいない」
「…………」
「こんな適任、他にいないだろう?」
いないだろう?と言われても………。まったく話についていけない。私が戸惑ったままアリアス殿下を見ていると、アリアス殿下はことさら優しい声を出した。ぐっと身を乗り出されて、距離が縮まる。その近い距離に思わず腰が引けそうになったけれど、辛うじてそれに耐えた。ふわりとハーブのような薬草のようないい香りがした。これは香水ではなく、彼本来の香りなのだろうか。
「ミレルダ嬢、きみは困ってるんじゃないかな」
「───え?」
「きみは今、セイフェルーン王国の王城を爆破した、いわばテロリストだ。指名手配されてもおかしくない。分かるよね?」
「は、はい………」