愛され、溶かされ、壊される
そこには福井一人ではなかった。
福井の後ろに数人のいかつい男達がいた。

「兄貴、コイツですか?」
「そう!好きにして!」
「はい。わかりました」
なんなんだ。俺は今からどうなるんだ。
おそらく……いや、確実にもう二度と普通に生活できないだろう。

「福井!なんで!?」

「だ、か、ら!言ったじゃん!忠告じゃなくて、警告だって!
これでも一度は目を瞑ってあげたんだよ!
それを無視したのは、お前だろ!?」
「――――!」
「じゃあ、後よろしく!三井さんも。もう二度と会うことないけど」
そう言って去っていった。


「おい!立てよ!」
「お前災難だったな…!可哀想だけど、兄貴の女に手を出したお前が悪い!」
「お前等誰?」
「うーん。裏の世界とゆうか闇の世界の人間みたいな?」
どう見ても、今ここにいる奴の方が恐ろしいが……。

「兄貴の怖さは力じゃねぇよ!」
「え?」
「たぶん俺達が束になっても勝てない唯一の男だ!」

なんとなくだか、わかる気がした。
あの、闇に続いているような目。
笑顔の奥にある恐ろしさ。
怯んでしまう、オーラがあった。


*****三井 side・終*****
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