愛され、溶かされ、壊される
朝目が覚めると、隣に葵がいない。
「あ、竜くん起きた?おはよう!ご飯作ったから食べよ!」

「あおちゃん!」
起き上がり、葵に抱きつく。
「ちょっ…竜くん!服着て!」
「あ!!ごめん(笑)」

「口に合うかわからないけど、どうぞ!」
「ありがとう!いただきます!」
楽しい食卓。新婚みたいだ。
「ど、どうかな?」
「美味しいよ!とても」
「良かったぁー。いつもは竜くんが用意してくれているから」
「でも、パン焼いたりするくらいだよ!サラダも買ったものだし」

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
一度家に帰り準備して、一緒に出社する。
職場に入る直前、ピタッと足が止まる葵。
「あおちゃん?どうした?」
「う、うん。三井さんとどうゆう顔して会ったらいいのか…」

大丈夫なのに……もういないし!

「大丈夫…。僕がいるよ?」
「そうだよね!うん!」
「行こう!」

案の定三井はいない。葵は安心した様だった。
葵を席まで送り、離れる。

「誰か、三井くん知らないか?」
「知りませんけど?」
「書類に変更があって。まだ来てないのか…。来たら私のとこに来るように伝えてくれ!」
「はい。わかりました」

結局三井は来なかった。
まぁ、当たり前だけど!

「三井さん、来なかったね…どうしたんだろ?」
帰りながら、心配そうに葵が言った。
「さぁ?あおちゃん、あんな怖いことされたんだから、気にしなくていいのに……」
「でも、昨日の今日だし…」
「まぁ、明日ケロッとしてくるかもよ?」
「うん、そうだよね…」
葵は自分に言い聞かせるように、呟いた。

*****竜 side・終*****
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