元書店員ですが、転生したら貴族令嬢になっていました!

13.② いざ厨房に参ります!

 喜びのあまり、翌朝早くに目覚めた。ティナさんに頼んで、パジャマ用にもらっておいたシンプルでゆったりしたTシャツとコットン素材のトラウザー姿で、まだ暗い厨房に忍び込んだ。ここにはランプが一つあるので、教えてもらった手順で点灯させるとぼんやりと明るくなる。
そのうち日の明かりがさすだろうから、今はとりあえずこれで十分だ。

「何つくろっかな――」

 大きなパントリーを開ける。うわーー食材たっぷりー! 冷蔵庫らしい箱があるのを発見! もちろん、電気などないから、氷が下に敷きつめられていた。でも、すごい! 

 たまねぎとーにんじんとーたまごとー鶏肉(多分)とー。と出して、はたと気づく。この家は素材は悪くないのだった。問題は味付けなのである。

 ここからは、私の心の声をダイレクトにお伝えします。

 ああ、香辛料がこの家はあまりないのか……とパントリーの隣にあるスパイス棚をチェックする。塩はある。砂糖もある。胡椒…ある。あるじゃん。なんで胡椒使ってなかったわけ今まで。あ、お酢もある! オリーブオイルっぽいのもある! あるんかい! なんで使ってないんだ!

 あっ!しかもこれハーブじゃないか!?

 塩の瓶の隣にある、ハーブが仕舞われているっぽい小さな箱を取り出す。くんくん匂いを嗅いで、ローズマリーのような匂いだ! と小躍りした。さらタイムっぽい香りのハーブも見つけた。ハーブあるんじゃん! これがあればだいぶん味に変化が起きるはずである!

 さぁて、作るぞぉぉと笑顔で振り向いて、速攻固まった。

 厨房のドアに寄りかかって、顔の下半分を手で押さえながら笑っているエリックが立っていたからである。
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