チョコレートがなくても
「あたしからもさせて?」

和馬からキスをたくさんもらったのだから、今度は絢音が返す番だ。和馬にキスをし、和馬と同じようにあちこちに唇を落としていく。和馬の肌の感触に、本当に帰って来てくれたんだと実感した。

しばらくキスを堪能した後、ようやく落ち着いた絢音と和馬は一旦体を離す。それでも、手は指を絡ませて離れない。

「帰ってくるの、二月の下旬じゃなかったの?」

絢音が一番気になっていることを訊ねると、「あれ?言ってなかったっけ?」と和馬は焦る。

「実は、帰国する日が早まったんだ。バレンタインを一緒に過ごせるって楽しみにしてたんだけど……」

どうやら、連絡をするのを忘れていたらしい。絢音は「本当にびっくりしたよ〜」と笑う。

いつまでも玄関にいるわけにもいかないので、二人は手をつないだままリビングへと向かう。久しぶりに二人並んで落ち着いたブラウンのソファに座り、見つめ合う。最初に口を開いたのは和馬だった。
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