チョコレートがなくても
「今日、日本はバレンタインでしょ?だからプレゼントを用意したんだ」

和馬が取り出したのは、リボンでラッピングされた綺麗な箱だった。

「もらっていいの?」

絢音が驚きながら受け取ると、「開けてみて」と言われる。絢音が箱を開けると、そこにはルビーが使われた可愛らしいデザインのネックレスが入っていた。

「綺麗……」

こんな高そうなもの、自分がもらっていいのかという気持ちも絢音の中にあったが、「気に入ってくれてよかった」と笑う和馬の顔を見るのが嬉しくて、和馬に「つけて」と頼むことができた。

絢音の首元でネックレスは輝きを放つ。それをうっとりと見ていた絢音だったが、和馬にチョコレートを用意していないことを思い出した。

「和馬、あたし、あなたが今日帰ってくるって知らなかったから、チョコレートを用意できてないんだ。ごめんなさい」

絢音は和馬に謝り、頭を下げる。すると「いいよ、別に」と和馬に抱き締められた。
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