Be My Valentine.
ドアをノックしようとすると、中から彼と女性の話し声が聞こえて、その手を止めた。
誰がいるのかまではわからず、ドアの横の壁にもたれていた。
しばらくするとらドアが開いて中から一人の女性が出てきた。
「あら、斎藤さん。さっきいだいたクッキー美味しかったわ。ありがとう。」
「いえ、食べてくださってありがとうございます...森田先生。」
その人は世界史の森田先生だった。若くて美人な彼女は多くの男子生徒の憧れの的。
それと同時に岬先生と付き合っているという噂もある人だ。
森田先生も立ち去り、一息ついてからドアをノックする。
「はーい。」
「失礼します。」
岬先生の気だるげな声が聞こえてドアをゆっくりと押す。
チェスターのついた椅子の背もたれに体重を預けてこちらを振り返る。
「ああ、斎藤。どうした。」
「先生、ペン1本足りてないんじゃない。」
彼は私の言葉を聞いて、白衣の胸ポケットを確認する。