潔癖女子の憂鬱~隣人は、だらしない男でした~
「っはよー」

ドサッと、机の上に鞄を置いて座った里崎は、俯いていた舞の顔を覗き込んできた。

「おーい、結城ちゃんどした? 朝からブルーなことでもあった?」

ブルーじゃないハッピーです、とは口を裂いても言えない。
無表情の仮面をつけ、顔を上げて里崎を見やる。

「なんでもないです。おはようございます、里崎さん」
「そお?月曜の朝から暗い顔してたら1週間思いやられるじゃん?」

「あっ、里崎さん」
「なぁ〜に?」

頬杖をつきながら里崎は、顔をぬっと近づけて口角を上げて笑う。

「ち、近いですっ」

体重を後ろにかけ背をそらしながら続ける。

「さっき、部長から電話がありまして、緊急の出張に同行して欲しいから携帯電話に電話するようにとのことです」
「えぇぇぇー!? マジで?」

「はい。部長は、もうすでに準備してるみたいですよ。何度か里崎さんに電話したらしいんですけど、出なかったからって会社にかけてきて……」

鞄の中からスマホを取り出した里崎は、ディスプレイを確認して深いため息を一つこぼしながら「マジかー」と、力なさげに呟いた。

「見てよこれ」

目の前に差し出されたスマホを見る。

「え…」と、絶句した。
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