潔癖女子の憂鬱~隣人は、だらしない男でした~
「……静かそうに見えて、よく喋るんだな」
「よく喋るって、私、あなたのことを注意してるんですけど? わかってます?」

「あぁ。そんだけ言われたらわかる。なぁ、いい会社に勤めてるって……」
「私は、知りませんけど、管理会社の使えない男が言ってたんです。私が人事ならあなたのこと採用しませんけどね」

「…………」

そんなことより、と話を続ける。

「きちんと節度を持った生活をしてくださいって言ってるんです」
「あんたの生活リズムはそうかもしんないけど、俺の生活リズムってのもあるんだけど、それは?」

「知りません。ただ、少し静かにしてくださいってお願いしているだけじゃないですか」
「あー、わかったわかった。話はそれだけだよな」と、めんどくさそうにポリポリとこめかみを掻いていた男は、そのままドアを閉めようとした。

「待ってください、まだ終わってませんっ!」と、ドアノブを引くとーー

空き缶、ゴミ、洋服が散乱していた。
< 29 / 62 >

この作品をシェア

pagetop