潔癖女子の憂鬱~隣人は、だらしない男でした~
「かわいい顔してるんだから、そんなこと言わないのっ! はい、これ」

そんな奇特なことを言うのは里崎くらいだな、と思っていると、テーブルの上にチョコが置かれた。

「これ……」
「ほら、甘いもの食べると元気になるじゃん?」

薄茶色の髪の毛を掻き上げながら、照れたように笑う。
年上なのに、八重歯のせいなのか若干幼く見える。そして、きっとこういう人は舞と違っていつも日向の人生を歩んできたに違いない。

「里崎さんがモテるのわかる気がします。給湯室で、女性社員がカッコイイって言ってましたし」
「へぇー、俺のことカッコいいって言ってくれてんの? じゃあ、結城ちゃんもそう思う?」

「いいえ。私のタイプではありませんので」
「うわぁ〜、手厳しい。俺は、こんなにも愛情かけて結城ちゃんを育ててるのにさぁ~」

視線を上げて一瞬窓際の席を見た舞だったが、里崎に視線を戻す。
どちらかというと大人の色香があって、真面目で頼りがいがあって几帳面な人が好ましい。
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