潔癖女子の憂鬱~隣人は、だらしない男でした~
「日曜のこの時間、楽しくなかったか?」
「なに言って……」

「俺は楽しかった。やっぱり続けるのはダメか? 俺の世話してメリットがないし、迷惑かもしんないけど」
「いや、でも……」

上司の家に毎週通うのは普通ではない。
舞と譲は付き合っていないし、対価を貰って雇われているわけでもない。

それにーー

「ぶ、部長は、女性はめんどくさいって」
「確かに、めんどくさいって思ってる。もともとズボラだから、そういう面倒だと思うことに首を突っ込みたくない」

――やっぱり。

このままここにいると、いつか譲の言う面倒な女になってしまうかもしれない。
俯いて、長く細い息を吐いた舞は、顔を上げ真剣な表情で譲を見た。

「……私も、部長が言ってる面倒な女なんですよ?」
「この1ヶ月半、面倒だって思ったことは1回もないぞ」

「で、でも、私……」

初めて会った時、めんどくさいって面と向かって言われたのだ。
その事実は撤回出来ない。
舞は、子供の頃から細かい性格だったし、曲がったことは嫌いだった。
それに、譲にも生活態度を矯正するように口うるさく言っていた。
それなのに、自分が面倒じゃない部類に入れて貰えるなんてありえない。

「私、言われましたけど」
「あー、あの時は俺に小言言ってくるし、そう思ったかもしれない」

「今だって言ってます」
「でも、言われてもなんにも気になんねぇんだよな。むしろ、俺もズゲズケ配慮無い言葉言ったりしてさ、気遣い出来てないだろ? だから、お互いさまだと思ってるし」

バツが悪そうに譲は、ガシガシと頭を掻いている。

「けど、本当の俺を知っても受け入れてくれたのは、結城さんが初めてだったんだ」
「え? どういうことですか?」
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