潔癖女子の憂鬱~隣人は、だらしない男でした~
「面倒くさいばっか言ってたらさ、すぐ女が逃げてくんだよ。でも、元カノたちは求めてばかりでそれに答えるのも馬鹿らしくてさ。確かに最初は、掃除しかなかった関係だったけど、話すのも思いのほか、気が楽だし楽しくて」
「…………」

「でも、里崎と付き合うのか? あいつ、イケメンだもんな。それに、俺と違って優しいし、気遣いできるし。ちゃんとしてる。部下の中では一番のオススメだ」
「なんで、里崎さん……」

どうして里崎が舞と付き合うという発想になるのだろう。
片眉を寄せ「里崎さんが私を好きとかありませんから」と、イラついた声で否定する。

「いや、アイツは狙ってると思うぞ。こないだデートに誘われてただろーが。もう少し危機感持てよ。そんなんだから、俺みたいなヤツにつけ入られるんだって」
「はい? 何言ってるんですか? 言ってる意味わからないんですけど」

グイッと腕を引かれた舞は、よろけたまま譲にの胸に体を預けてしまう。

「あ、す、すみません」

体勢を立て直そうと、ソファーに手をつき体を起こそうとすると、そのまま強く抱きしめられた。

――え? なに?

どうして、譲に抱きしめられているのか理解できなかった。
どうにか体を離そうと、身をよじりながら舞はもがく。

「でも……。里崎と仲良くするのは、会社の中でだけにしてくれないか。ずっと俺のことを考えろとは言わない。俺との関係は、3時間だけでもいいから」

舞の耳元で譲の弱々しい声が聞こえてきた。
< 60 / 62 >

この作品をシェア

pagetop