幼馴染に恋をして(心愛ver)
翌朝、私は朝練後、少し早く教室に戻り何気なく外を見ている
中等部の子がチラホラと登校してきていた。
遠目でも解る 彼が登校する所だった・・
隣に中等部の制服を着た女の子と一緒に・・
私は動けなくなった・・
呼吸をする事も忘れ二人を見つめていた・・
彼もその子も笑っていた。
とても楽しそうに・・
「その子は誰?どうして一緒に登校しているの?どうして笑っているの?」
私は次から次ぎへと湧いてくる疑問に押し潰されそうだった。
とにかく此処から逃げないと・・・
彼が教室に来て目が合ったら・・
私は逃げるように女子トイレに向かった。
トイレで今見た現実に涙が溢れてどうする事も出来ずにいた。
HRギリギリまでトイレに隠れ教室に戻る・・
彼は何時もの様にそこに居た。
何時もと変わらない日常。
私だけが違う・・
昼休み、お弁当を持ったクルミちゃんに強引に屋上に連れ出される・・
「ココア 何があったの? 目が真っ赤だったよ・・」
「クルミちゃん・・今朝、藤原が中等部の女子と登校しているのを見た・・」
私は又泣き出していた・・
クルミちゃんはそんな私の背中をさすりながら
「よしよし」と言ってくれるが涙は止まらない
「何か理由があると思う・・私も翼に聞いてみるから・・
とりあえず落ち着こう・・」
翌日、朝練の後に中学2年生に弟が居る子の話に
女バス全員が聞き入っていた。
王子は昨年、その子 森 杏那が入学した時から毎朝一緒に登校をしていた。
中学1年は不測の事態に備え他学年より登校時間が20分早い。
だから他学年の私達には解らなかったが、
当時の中学1年生の間では兄が妹を心配して
一緒に登校していると認識されていたらしい。
誰も騒がず当たり前の日常として受け入れていた・・
そこで私は思った(藤原に妹は居ない)・・
私以外にもそう思った子がいて
「でも、名字が違うじゃない・・」
「そう!そこよ!・・」
「じゃあ、誰?」
「近所の子?」
「私、同じマンションだけど知らない子・・」
「親戚じゃない? だって中1からなら一寸前は小学生でしょ?
カレカノとかは無いでしょう?」
「確かに・・」
「きっと従妹とかなんじゃない?」
「そうだね・・それが一番シックリくるね・・」
何となく皆、従妹だろうとそれが一番誰もが納得できる答えだった。
少し心に引っ掛かる物はあったが
私の心は僅かだけれど昨日よりは落ち着いた・・
昼休みにクルミちゃんに今朝の朝練の時に得た情報を報告しながら
「私、藤原の事好きでいても良いよね」と口にした・・
「うん。頑張れ!応援しているから」と何時ものクルミちゃんからの
ポジティブ発言が出ると思っていた・・
クルミちゃんは
「ココア 恋心を誰も止められない・・辛い恋になるかもしれないよ」と・・
私はこの時、クルミちゃんの顔を見ていなかった。
見ていたら「うん」なんて簡単に答えを出さなかったかもしれない・・
私は一緒に登校している二人を見た以上に
辛い事なんて無いと思っていた。
今が一番辛いと・・
そして私は(幼馴染最強伝説)を未だに自分に当てはめていた。