幼馴染に恋をして(心愛ver)

「杏那ちゃん間に合うか?」
「だから杏那って呼ぶな・・減る」
「はいはい。呼びませんよ・・」

会話はするのに、視線は窓の外を見ている
藤原は高校棟を出て、中学棟に入るあの子を見守っているのだ
その時私は気が付いた・・
朝、胸ポケットに入れていた銀杏の葉が挿さっていなかった
捨てたの?
そんな簡単に手放せるあの子が羨ましい。
私なら押し花やパウチしちゃうのにと、逡巡していると
クルミちゃんが意を決したように口にする。
「翼、聴こうとおもっていたんだけれど、なんで あ~君と呼ばれているの?」
あ、クルミちゃんはそこが気になって手に力が入ったのか
出来れば(海斗)と呼んだことを聴いて欲しかった
私は聞けないから・・
普段のクルミちゃんなら聞いてくれただろうけれど
今、クルミちゃんは(あ~君)の方が重要事項
自分で聞けないのに頼っちゃダメだよね。解っているよ。

  でも、

「も~り~とは」
「も~り~?」
「そ、藤原が名前で呼ぶのを嫌がるから、皆 も~り~ と呼ぶんだよ 
俺が空手道場に通いだした時からだから 2歳だったかな?
小さすぎて 安藤と言えなくて あ~君」
「え、翼 そんな前から知っていたの?」
「うん。」
「そうなの・・」少し落ち込んだ声のクルミちゃん・・
「翼、じゃあ、彼女も空手・・」
「やっていたよ。習い始めたのはもう少しあとだったよな?幾つだっけ?」
「幼稚園入った時だから3歳かな」と藤原が答える。
「そんな風には見えない・・」
「胡桃、も~り~ は俺より強いよ・・
俺は受験の為に5年生で止めたけど も~り~は6年生まで
通っていたから俺は初段だけれど 二段の筈・・だよな?」
「あ~ お前より確実に上だ」
「藤原さん 親友を軽くディするのを止めて貰えませんか? 
合気道は俺の方が上だし・・」
「杏那もお前と同じスピードで駆けあがっているぞ・・
もしかしたらお前より早いかも・・」
「はいはい。さようでございますか。」
とケタケタ笑いだす三人・・
私だけが笑えない・・
あの子 藤原とピアノも空手も一緒に習っていたの?
どうしてクルミちゃんそこ聞いてくれないの?
自分の意気地がないのを棚に上げて私はどす黒い考えに支配されていた。
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