幼馴染に恋をして(心愛ver)
中学二年

明応中学では中一、中二はクラス替え、担任替えは無く同じメンバーで過ごす。

私達のクラスはとても雰囲気が良い。

それは彼が悪口を嫌がるから・・
彼は誰とでも隔たり無く接する。
教室で座っていると周りを人が囲む。
大抵、休み時間が終わるまではそのメンバーで話し続けるが、
誰かが悪口を言うと彼は席を立ち、その輪には戻らない・・
いつしかクラスから悪口を言う人が居なくなった。

そうすると何でもスムーズに纏まる。

男女共に彼に嫌われたくないと思うのだろう。

乱暴でもなく、言葉で威圧するのでもなく彼は人を纏める。

残暑の厳しい9月、
クルミちゃんとお昼を食べている時に急に

「ココアって藤原が好きなの?」と真顔で聞かれる・・
私は口に含んだアイスティーを吹き出しそうになり、
それを止めるために変な所に入ってしまいむせ返る。

「ごめん、ごめん」とクルミちゃんは謝る
「なんで急に・・」
「いつも藤原を目で追っているから・・そうなのかな?と思って」

私は隠せないと思い「うん。小学校の時から好き」
「そうか・・」
「どう思う?」
「なにが?」
「好きでいていいのかな?」
「難しいね・・藤原って気持ちが読めないところあるから・・」
「うん。そうだよね」
「誰にでも優しいよね。それって彼女なら嫌だよね。
私だけに優しくしてって思うし、彼女じゃ無い時は心地いい。
私には無理かな・・やっぱり私にだけ特別な人が良い・・」
「そうだよね・・」
クルミちゃんはハッとして
「でも、彼女には又特別に優しくするのかも・・」とフォローしてくれる。

「藤原、好きな人いないのかな?」私は自分で口にして悲しくなった。
「翼の話では付き合っている人は居ないみたいだけどね・・
好きな人は解らないな~翼も藤原の事は余り言わないから・・」
「安藤君と藤原って仲良いよね」
「4、5歳くらいからの知り合いらしいよ・・」
「塾じゃないんだ・・」
「違うよ。同じ空手道場に通っていたんだよ」
「空手?・・藤原 空手やっていたの?」
「ココア 知らなかったんだ・・
私もハッキリ覚えていないけど翼は5年生まで・・
藤原はその後も続けていたと聞いたような、聞かなかったような・・」

「そうか・・だから二人で今は合気道なんだ・・
私、意外と藤原の事を知らないんだ・・」
「中学に入るまで、藤原は今みたいに誰とでも話すタイプじゃなかったから、
此れから藤原の事を知っていくのも楽しいかもよ」
とクルミちゃんは言ってくれた・・

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