ロゼリアの黒い鳥
――二人は五年前に引き裂かれた。
ロゼリアの父によって。
彼の怒りのままに働いた理不尽な暴力によって、ギデオンは命を落とし、そしてまるでゴミのように山の中に捨てられた。
そしてロゼリアは、その光景を父親に見せしめのように見せられたのだ。
悲劇とも言えるできごとだろう。
一人の少年は命を落とし、一人の少女は正気をなくした。
あぁ、可哀想に。
皆がそう口にして終わる物語……のはずだった。
ロゼリアの父は少なくともそう思っていたはずだ。
だが、死んだはずのギデオンがこうやってここにいること自体、それだけでは終わらなかったのだと物語っている。