ロゼリアの黒い鳥
甦ったギデオンは、それは酷く酷く悲しんだ。
滂沱の涙を零し、慟哭し、のた打ち回る。
致命傷だけを治癒して甦らせたせいで、地獄のような痛みと苦しみを味わっているのもあるが。それ以上にロゼリアの現状が一番堪えたようだ。
ギデオンは、捨てられた山の中で一週間のた打ち回った。耐えきれずに絶命し、それをまた生き返らせて全身の痛みと戦う。
それでも一週間で済んだのは、山にやってきた人に救助されたからだ。運が良かったと言ってもいい。カイムは舌打ちしたが。
病院に連れて行かれ、全身を包帯に巻かれてベッドに横たわるギデオンは、揶揄うために姿を現したカイムに告げる。
「……ロゼリアをあの父親から取り戻す」
「取り戻すだけ?」
まさか、そんなはずはないよね?
そう決めつけて聞くと、彼は包帯の隙間から見える目を鋭く光らせ、怨嗟の炎を滾らせた。
「ロゼリアの父親には俺と同じ苦しみを味あわせる。そして、二度とロゼリアを好き勝手できないように――殺してやる」
残念だね、ロゼリア。
君のギデオンは、結局君を忘れられないみたいだ。
願いも虚しく、ギデオンは復讐の道へと足を踏み入れる決意をした。そして、君と歩む道を選んだんだ。
記憶がなくても、心が壊れていてもそれでも構わないと。