私の好きな彼は私の親友が好きで

母と百合さんが、何と並んで座ったので
飯島 薫さんと私が自ずと、並んで座る羽目になってしまった。
(こんなカップルみたいな並びで、ご飯なんて食べれないよ・・)
「緊張している?」
「しています。」
「お見合いだと思わないで、親の付き添いだと思って。」
「そんな~」
「だって、見てごらん、2人、全く俺達の事気にしていないよ・・」
「余計にムカつきます。」
「ムカつくって・・若いね~」
「飯島さんは、おいくつなんですか?」
「薫  薫って呼んで」
「薫さん  おいくつなんですか?」
「この間、33歳になった。」
「私は3月に23歳になるので10歳差ですね。」
「10歳の差って言わると おじさんと言われている気がして
凹むわ」
「そんなつもりでは無いです・・カッコいいし・・」
「カッコいいと言って貰えると嬉しいね。」
その笑顔が素敵で少し恥ずかしい気持ちになり、
前菜を口に入れて誤魔化した。
「あ、これ 美味しい。」
「ウニ 好きなの?」
「美味しいウニは好きです・・たまぁに 
外れのウニに当たるとガッカリします。」
「じゃあ、今度美味しいウニを食べさせてあげる。」
「良いんですか?」
「お安い御用だね。」
「薫さん、お仕事は?」
「今は親父の会社に居る。」
「今は???」
その言葉に薫さんの顔が少し緊張したような気がした。
「君は言葉の機微を見つけるのが鋭いね。」
「学生の時に仲間とソフトウェアの開発会社を立ち上げた。
主に企業向けのウィルスソフトを作成していてね。
結構、業績も上げていたし、社員も増やそうかと
思っていたんだけれど、父が体調を崩し、父をサポートしないと
ならない立場になってね。父は、後を継がなくてもと言ってくれたが、
俺の代で同族以外が社長になるのはね。と思って
一緒に立ち上げた友人を社長にし、飯島コーポレーションの傘下にした。
本当は独立したままでも良かったんだけれど、我が子同然だから、
手放したく無かったのかもしれないな。」
(父と一緒だ。学生の時に会社を立ち上げて・・両親と同じ年齢も10歳差。
その事に親近感がわいた。)
「凄いですね。私なんて就職活動もしていなくて・・」
「え、働かないの? 家事手伝い?」
「いえ、大学を卒業したらイギリスに又、戻ろうかと・・
父から出された条件なんです。日本の大学を卒業しないと、
お金出さないと言われて。一時帰国しています。」
薫さんの顔が何故か歪んだ。
手を顎に当てて・・何かを考えている
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