私の好きな彼は私の親友が好きで


今朝、何時もの公園に、昨日と同じようにペットボトルを手に行ったが、
居るはずの彼女は居なかった。
15分、ベンチに座り、待ち続け、ベンチには水滴のシミが丸く出来ている。
約束なんてしていない。それなのに今日も居ると思って
心が弾んで公園のベンチに急いだのに・・
なんとも言い難い気持ちで会社に行くと、彼女が既に着席していた。
表情は昨日と、左程変わらないのに・・なんで今日はいなかったのだろう?
そんな彼女の姿を追っていると、

「あれ、岩原 なんで2本も飲み物持っているの?」
「あぁ、間違ってボタン押しちゃって・・」
「きゃはは!ドジだね~」そう話しかけてきたのは、同期の村林久美。
「やるよ」
「いいの。有難う」
岩原が村林にペットボトルを渡す時に、彼の人差し指と、彼女の人差し指が
触れ合った。その瞬間、村林は真っ赤な顔をして俯いたのを
美月に気を取られていた岩原は見ていなかった。
もし、あの日 美月が公園に来ていたら、石原がペットボトルを
村林にあげなければ、指が触れ合わなかったら、美月を見つめていないで
赤くなった村林を見ていたら・・
村林久美が 長い間 片思いに苦しむ事も回避できたのかもしれない・・
< 94 / 105 >

この作品をシェア

pagetop