婚約破棄されたけど隣国の王子様と飛空艇で世界旅行してる私は超勝ち組!?
ルゥルゥが踊るように前を歩くと、王子が私の肩を抱き寄せた。

とくん……と、胸が高鳴る。
 

「すまない、忘れるところだった。一度シルヴァーニャ・ブライストに帰ろう」

「えっ!?」


ルゥルゥと声が重なる。


「そ、それはなぜ……」

「父君の誕生日を忘れたか?」

「ああ!」


そういえば、もうすぐ父の誕生日だ。


「ふぅーん。ダリヤのパパのお誕生日なんだ」

「そうなんだ。未来の息子として、祝い事は欠かせないからな☆彡」

「じゃあ途中、どこかへ寄って贈り物を買わないと!」

「ああ、そのつもりだ!」


王子はルゥルゥと会話が盛り上がってしまったけれど、私は嫉妬したりしない。それどころか胸の奥がじぃーんとして、黙ってふたりのあとについて歩いていた。

家族の事まで、きちんと覚えていてくれる。
王子は、優しい人だ。

それが嬉しかった。
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