契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
「寝ぼけちゃった」

 渚は呟いて、よいしょとベッドを下りた。
 トイレから戻り水を飲みにキッチンへ寄った渚は、リビングの向こうの大きな窓の外に浮かぶ景色に思わずため息をついた。

「綺麗……」

 まるでどこかの展望台から見ているかのような夜景に渚はしばしの間見とれてしまう。
 でもその時、リビングのソファの端から男性の脚がはみ出ていることに気がついた。
 そぅっと近づいて覗き込んでみると、和臣がスーツ姿のままソファに倒れ込むようにして寝ていた。

「か……」

 思わず渚声をかけそうになって、渚はそれを飲み込んだ。
 和臣はそんな渚にも、気が付かずに、眠りこけている。
 渚は唖然として彼を見つめた。
 アルコールの香りはしないから、酔っ払っているのではなさそうだ。
< 150 / 286 >

この作品をシェア

pagetop