契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 まっすぐに、未来だけを見つめるキラキラした瞳。
 食材を前にした時の弾ける笑顔。
 和臣にからかわれると、ふくらむ頬。
 家族を思う温かい心。
 それらすべてが、和臣にとっては奇跡にも等しいくらいに愛おしい。
 週刊誌にどのように書かれても和臣自身は少しも傷つきはしない。テレビ画面に映る瀬名和臣など自分にとってそれほど価値はないからだ。今すぐにだって捨て去ることもできる。
 だがなんとしても、渚だけは守らなくては。
 タクシーが自宅マンション前に到着する。
 和臣はタクシーを降りてエントランスを足速に進むと、ちょうど来ていたエレベーターに乗り込み乱暴にボタンをバンと押す。
 そして深い深いため息をついた。
 打算まみれの政略結婚。
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