契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
「君は本当に渚の弁当屋などという馬鹿げた話を、応援するつもりなのか? 失敗したらどうするだ。無責任にも程があるだろう!」

「失敗しても、挫折しても何度でもやり直せる。私は先生にそれをおしえていただきました」

 和臣が静かに放った言葉に、龍太郎が少し口を開いたまま、固まった。

「かつて、法科大学院を辞めざるを得なくなった私に、先生は何年かかってもいいから夢を叶えろと言ってくださった。私はその言葉を胸に、ここまでやってきたのです。私だけじゃない、他にもたくさんの者たちが先生の言葉に希望をもらったはずです。失敗しても、何度でもやり直せると」

 龍太郎が唇をわずかに震わせた。

「渚さんの夢が成功するかどうかはわかりません。でも可能性は無限大に広がっているはずです。少なくとも彼女にはそれに見合うやる気と情熱がある。そのことには、先生もお気づきのはずです」

 龍太郎が掠れた声を出した。

「そ、そんなことは……。そんなことは、ない……」

 和臣が、相手を労るような優しい声音で問いかけた。
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