契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 このような場では迂闊に話をするべきではないと経験上わかっているからだ。その時の感情でものを言っては、後々なにが不利に働くかはわからない。
 週刊誌の直撃を受けることなど、さすがの和臣でもそうそうあることではないだろうが、弁護士として数々の修羅場をくぐり抜けてきた経験から、どうするのがベストなのか瞬時に判断して対処する術が身体に染み付いているのだろう。
「失礼させていただきます」とだけ言って渚の手を引き、この場を立ち去ろうとする。
 そこへ記者が言葉を浴びせた。
「一部からは奥様が先生のファンだったのでは?という声もあがっておりますが!」
 その言葉に、和臣の足がぴたりと止まる。彼の後ろを歩いていた渚はつんのめり彼にぶつかりそうになってしまった。
 和臣がゆっくりと振り返り、訝しむように目を細めて記者を睨んだ。
「ファン?」
 記者が頷いた。
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