契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
「そうです。それでお父様に瀬名先生と結婚できるように頼んだのではないか、と……」

 和臣が反応したことが嬉しかったのか、記者が嬉々として話始めた。

「先生、先生は以前女子アナとお付き合いされていましたね。今年の初め頃は、さる女優さんと急接近されているという情報も本誌はキャッチしています。それなのに突然お付き合いもされていなかった奥様とご結婚された。どう考えても不自然です。奥様が、事務所の次期所長の座を餌に、先生に結婚を迫ったのでは?と、そう考える方もいらっしゃるようですよ」

 耳を塞ぎたくなるような酷い言葉。
 渚の脳裏に愛美とのやり取りが浮かんだ。
 和臣と渚はもともとの恋人同士ではなかった、きっと事務所の所長の座を餌に……など内部の人間にしか知り得ない事情だ。
 渚は目が眩むような怒りを覚えた。

 和臣は次期所長の座につられて結婚を決めるような人ではない!

 和臣も同じように感じたのだろうか。低い声で「不自然ね」と呟くと、記者の方へ向き直り、一歩、近づいた。
 初雪が落ちるアスファルトに和臣の靴音がコツリと鳴った。
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