契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 テレビで見せる爽やかで穏やかな表情とは真逆の、静かな怒りを帯びた厳しい表情に、その場の空気がぴりりと張り詰める。
 記者がごくりと喉を鳴らした。
 和臣がゆっくりと口を開いた。

「確かに私は、妻の父親の勧めで彼女と見合いをした。それで結婚に至ったわけですから、私に打算があったと思われてもおかしくはない。私のことはどのように書いてくださっても結構ですよ」

 低い声でそう言いなから、和臣はもう一歩、記者に歩み寄る。鋭い視線で睨まれて、反対に記者の方は一歩後ずさった。
 そして少し怖気付きながら言葉を返す。

「で、では、やはり奥様が……」

「ただし」

 和臣がビリッと空気を切り裂くような鋭い声で、記者の言葉を遮った。
 まるで法廷にいるようだと渚は思う。普段は穏やかで優しい人だけれど、きっと裁判ではこんな風に鋭い視線と声で相手を追及しているのだろう。
 戦闘モードの和臣に、記者がもう一歩後ずさった。
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