契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 渚はその姉を見つめながら、再びカサゴを洗い始めた。

「何かいい方法はないかしら……。お父さんを納得させられるなにか。それにしてもお父さんったら本当に口うるさいんだから。私もいろいろ言われたわ、結婚前は……」

 千秋はぶつぶつと言いながら思案していたが、突然閃いたように声をあげた。

「あ! そうだわ!」

 そしてカウンターから身を乗り出して、目を輝かせた。

「結婚すればいいのよ! 渚も」

「……はぁ?」

 名案が浮かんだかのように声をあげておきながら、なんの脈略もない言葉を口にする姉に、渚はやや呆れながらカサゴを洗い続ける。
 そういえばこの姉は、美人だけどどこかとんちんかんなところがあったかな、と思いながら。
 だが千秋はそんな渚はお構いなしに、嬉々として自分の考えを語り始めた。

「お父さん、私にも口うるさかったでしょう? でも結婚してからはそうでもないの。前はあんなに私のすることに文句ばっかり言ってたのに。きっと古い考えの人だから結婚して家を出た娘には口を出さないようにしてるのね。妻は夫に従えばいいって思ってるんだわ。仕事では男女平等なんて言ってるけど、口先だけなのよ。元裁判官のくせにね」
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