契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 そんな渚に瀬名から声がかかった。

「佐々木さん。君はいいの? ひとりくらいなら当日参加でも大丈夫ってレストラン側に言われてるけど」

 渚は、少し慌てて彼に答えた。

「あ、私は大丈夫です。お弁当がありますから。ちょっと中華が苦手でして……すみません」

 そして、いいから早く行ってくれないかななどというちょっと失礼なことを考えた。なにしろ彼の後ろで自分たちの会話を聞いている先輩女性事務員たちの視線が痛い。
 案の定、愛美が少し焦れたような声を出した。

「瀬名先生、早く行かないと時間がなくなりますよ」

 そして渚の方をじろりと睨んだ。
 瀬名がチラリと彼女を見て、それもそうだと思ったのか素直に頷いた。

「じゃあ、次回は中華以外にしようか。佐々木さん、リクエストがあったらおしえて」

 そんなことを言って、瀬名ははたくさんの事務員をつれて事務室を出ていった。
 渚はホッと息を吐いた。
 そして自宅から持ってきたお弁当を広げていると、再び事務室の扉が開いた。
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