契約結婚のはずが、極上弁護士に愛妻指名されました
 それは彼にまつわる少し派手な噂話が影響しているのかもしれない。
 やれ、女優と食事をしているのを見ただの、女性誌の取材を受けただの。
 聞くつもりはなくと自然と耳に入ってくるのだから。
 もちろん業務以外ではまったく接点がないから、仕事以外で話しかけられることはほとんどないがこの間のランチ会の件のように声をかけられただけでも、困ったなという気分になるのだ。
 でもよくよく考えてみれば、彼自身には嫌だと思う点などないはず。
 業務の指示は的確でわかりやすく、なにかあっても理不尽に事務員を叱ることはない。
 逆に指摘すべき点は丁寧に指導してくれる。
 それこそ、佐々木総合法律事務所に所属する弁護士の中では一番やりやすい弁護士だといえるだろう。
 渚はうーんと考え込む。
 その時、脳裏に愛美の顔が浮かんで、渚は「あ」と声をあげた。
 千秋が不思議そうに首を傾げた。
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